小さな仕掛けで「遊べる」空間に

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 子どもにとって遊びは仕事。子どもは、日々のさまざまな遊びや試みを通して、多くのことを学んでいきます。その意味で、昔の日本の住まいは、子どもにとって理想的な環境でした。畳という柔らかなマットが敷かれた、狭いながらも固定された家具のない、融通のきく空間で自由に遊べ、そのうえ、縁側や押し入れ、屋根裏、縁の下など、さまざまな変化に富む場所も遊び場としてありました。

 家の中での子どもの遊びは、大きく分けて「すもうなど体を動かす遊び」「かくれんぼ」「ままごとなどごつこ遊び」「絵を描いたり工作したりなどの創件港び」の4つ。かつての日本の住まいは、これら4つのどの遊びもが、存分に体験できる環境だったといえます。

 昔の家屋と現代の住宅を比べると、床は、硬くて冷たいフローリングが主流。たいして広いともいえない部屋は、ダイニングセットやソファなど大きな家具でいっぱいです。無駄のない合理的な間取りを追求すればするほど、子どもの遊び心を刺激するような、ゆとりの空間はどんどん省かれていく一方。これでは子どもはテレビの前でゲームに興じるほかない。こんな状況では、子どもの体や心が豊かに育つとはとてもいえません。

 回遊性のある間取りや隠れ家風のスペースを もちろん、古きよき時代の日本の住まいを、そのまま現代に持ってくるべきだ、というわけではありません。しかし、設計段階における工夫でそこにあるエッセンスを取り込み、子どもたちが遊べる家をつくることならできそうです。

 もちろん広々としたスペースがあるに越したことはないのですが、単なる広さよりも「回遊性のあるプランニング」をオススメします。子どもにとってのよりよい住まいとは、家の中で遊園地のように追いかけっこができる間取り・つくりであること。たとえば、子どもが子ども部屋からリビングに行く方法が何通りもあり、ときとして外を通ったりするようなね。子どもは、A地点からB地点までの行き帰りでも、いろいろなものを発見します。さらに回遊できるとなると、その空間の持つ豊かさが倍増するわけです。

 この場合、動線としても便利な水平方向に加え、ロフトや階段など垂直方向にも回遊性を持たせると、何
通りもの行き来のバリエーションが生まれ、さらに子どもの感性を刺激します。

 子どもはちょっとした隠れ家風の空間を好むもの。子どものころ、押し入れの中や納戸、縁側の突きあたりなど、狭い場所にこもっていると、妙に落ち着いて楽しかったことはありませんか。きょうだいや友達と秘密を共有できる場所。
 親にしかられたときや学校でいやなことがあったときに、静かにひとりになれる場所。ロフトや階段の踊り場など、子どもの心の成長にとって必要な癒しのスペースをぜひ実現してあげたいものです。ロフトヘのステップを壁の穴でロフトヘ上がるステップを壁の穴という仕様に。小さいうちは危ないし、足も届かないので上がれないが、小学生になるころには、体力もつき、遊びの一環として上れるようになり、自分の砦となるロフトに上がることができる。